神主ゴーフミの爆笑雑記ブログ

北海道釧路市厳島神社の神主ゴーフミのブログです。明日職場や学校で話せる面白い話を書いていきます。twitter@gofumi3

神社でアルバイトしていた高校球児が甲子園で大活躍した奇跡のお話〜必勝祈願は神社へGO!〜

こんにちは、神主のゴーフミです。

 

さて、今回は「私が奉仕している神社でアルバイトをしていた高校球児が、甲子園で大活躍した奇跡のお話(ノンフィクション)」です。

 

《もくじ》

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◇神社にやってきた「高校球児のSくん」

 

私がご奉仕している釧路厳島神社は、お正月の三が日で、初詣の参拝者が「5万人」ほどいらっしゃいます。

 

(釧路市は人口17万人ほどで、北海道でも第5位の人口規模です。)

 

そういうわけで、とにかくお正月は「人手」が足りません。

 

そのため、高校生や大学生のアルバイトを頼むわけです。

 

さかのぼること、2012年の年末。

 

私はお正月の準備に向けて、年末年始のアルバイトを募集しました。

 

アルバイト募集要項は、以下のふたつ。

 

①境内の臨時ブースでお守りなどを頒布する「巫女さん」(高校生〜20代前半くらいの女性12名ほど)

 

②作業着を着て、主に力仕事をする「とにかく動ける男子」

(高校生〜大学生くらいの男性3名〜4名)

 

「巫女さん」のアルバイトは募集開始とともにすぐいっぱいになるので、とても人気です。

 

その一方で、力仕事をする「男性」はすぐには集まらないのが悩みなのですが…。

 

2012年には高校1年生の男子3名が応募してきてくれました。

 

「坊主の高校球児3人組!みんな1年生か!いいね〜。期待してるよ!」

 

「…。うぃっす。よろしくお願いしまッス」

 

アルバイトに先立って3人と面談した私。

質問にも元気に答える3人組。

 

初々しくて元気な彼らに大きく期待が膨らみました。

 

「高校球児は礼儀がしっかりしてていいねー。

頑張ってね!」

 

「うっす!がんばりやっす!」

 

話を聞くと、地元の高校の野球部に所属している1年生で、「部活の遠征費」をかせぐためにアルバイトに応募してきたのだそう。

 

3人の中でも、今回のお話の主役の「Sくん」は無口で表情を変えない子で、無骨な印象を受けました。

 

「Sくんも大丈夫かな?」

 

「…ッス。」

 

「???」

 

「(がんばり…ッス…。)」

 

「…が、がんばろうな…。(大丈夫か?)」

 

 

…そして面談を終えて1週間後、いよいよアルバイト初日の大晦日です。

 

◇アルバイト初日の大晦日

 

彼らの主な仕事は、お守りの臨時頒布ブースに「お守り」や「破魔矢」の入った大きな箱を運んだり…、

 

ストーブ代わりの「木炭」の火起こしを行なったりすること…などなど。

 

 

とにかく運ぶ物が多いので、体力がないと務まりません

 

「君たち、これは運んでー!」

「次はこれだよー!」

 

言われた指示を一生懸命こなす3人組。

 

評価は、可もなく不可もなく…というところ(笑)

 

「まぁ高校1年生だし、こんなもんか(笑)」

 

◇そして夜が明け2012年の「元旦」になった

 

元旦になると、アルバイトの高校球児たちは、今度は「獅子舞」の役を交代で行うことに。

 

朝9時から15時まで、「獅子舞の役」がメインの仕事となる。

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「前で獅子の顔を持って操る係」「うしろで背中を丸めて布をかぶる係」に分かれて、足並みを揃えて境内を歩く。

 

「うちの子の頭噛んでくださーい!」

と声をかけてくるお母さん。

 

「ボケないように噛んでくれる?」

と頭を差し出してくる年配のお婆ちゃん。

 

人で溢れかえる境内で5列に並ぶ参拝者の横を歩く獅子舞は、頭をカチカチ噛み続ける。

 

「動きをもっと獣っぽくすると盛り上がるぞ!」

 

「たまにEXILEみたいにくるくる頭を回すと見ている人が喜ぶぞ!」

 

など、役に立つのかわからない私のアドバイスに、真摯に耳を傾ける高校球児たち(笑)

 

「ガニ股にノシノシ歩くと、それっぽく見てるからやってみて。」

 

「…これ足腰鍛えられますね。守備力上がりそうです!」

 

「お、Sくんは常に野球に役立てようとしててえらいなーがんばれ!」

 

「…うっす!」

 

そんなかんじで、高校球児たちはしっかりと業務を全うしたのであった。

 

◇そして翌年2013年の年末

 

翌年も、またアルバイトを募集すると、またしても「Sくん」が応募してきた。

 

「今年もよろしくお願いします!」

 

「お、久しぶりだね!今年も頼むぞー。」

 

1年で体つきもしっかりして、体も雰囲気もひと回り大きく成長したSくん。

 

Sくんはアルバイト2年目ということもあり、要領良く正月から1月15日の「どんど焼き」まで、ガッツリ働いた。

 

基本はしっかり働いていたが、参拝者が途切れた時なんかは、そこらへんの木の棒を拾って「素振りの練習」をしていた。

 

「…まぁ、参拝者の列も途切れてるし、多少ならよしとするか。」

 

その日のお昼休憩の時、私はSくんと少し話をした。

 

「Sくんは、やっぱり甲子園目指してるの?」

 

「もちろんです!行けるかわからないですけどね。」

 

「神社で神様の目を盗んで素振りしてるくらいだから、熱意は本物だね!(笑)」

 

「す、すみません!」

 

「いや、からかっただけだよ(笑)甲子園行けるといいな!」

 

「はい!2年間も神社でアルバイトしたから、レギュラー取って甲子園行きたいです!」

 

「うん、神様は絶対みてるからな!応援してるぞ!」

 

「はい!絶対活躍してみせます!」

 

Sくんと話していると、自分も高校時代バスケ部で頑張っている頃を思い出し、懐かしい思い出がこみ上げてきた。

 

私は2軍の“万年補欠”で、試合も全然出してもらえなかったので、「神様、彼を活躍させてあげてくださいね!」とその時、心の中で切に願ったのである。

 

その時…!!!

「ゾワーーーーッ」っと、背中がゾクゾクして、鳥肌が立った。

不思議といつものような怖いカンジはしなかった。

 

「神様が願いを聞いてくれたのかな?」という気がしたのが今でも不思議である

 

◇そして翌年の2014年の夏

年明けから半年ほど経ち、2014年夏になったある日のこと。

 

夏になると、平均気温20度ほどの私が住む釧路。

 

過ごしやすい1番好きな気候になってきた。

 

「おはようございまーす!お参りに来ましたー!」

「ちょっと神主さん!釧路のB高校が甲子園出るんだってよ!知ってた?」

 

毎月お参りに行く会社の社長さんが、慌てた様子で、開口一番にそう言った。

 

「そうなんですか!凄いですねー!…ちょっと待って!おおおおおおぉーー!!!」

 

なんと、あの「Sくん」の高校である!

 

「神主さんよ!これ見てみ!」

 

そう言って渡してくれたスポーツ新聞に大きく載っていたのは、あの「Sくん」である。

 

「釧路のスピードスターS選手が聖地を駆け回る!」

そんな見出しで始まった実際の新聞記事はこちら。

 

B高校の1番・二塁手のS選手(3年)が、初戦の相手、八戸学院光星(青森)の仲井宗基監督(44)から最も警戒する選手に“指名”を受けた。チーム一の俊足が攻撃の口火を切る。

 自慢の足が突破口となる。釧路市のB高校のリードオフマン、S選手が敵将からマークされた。小林正人監督(26)と対談した八戸学院光星の仲井監督が注目選手に「1番打者」と口にし「(B高校は)足を使いますからね」と警戒した。50メートル5秒8はチーム最速。北北海道大会準々決勝の天塩戦では3回に二盗、三盗を決め一挙4得点のビッグイニングを演出した。小林監督からもキーマンに指名されるS選手は「どんな形でも塁に出て、盗塁を狙っていく」と力を込めた。

「釧路のみんなに甲子園での姿を見せたい」とS選手。チームの初陣初勝利を飾る快足を披露する。

 

「おおおおーー!!Sくん!そんなに凄いやつだったのかよー!!!」

 

私はその場で思わず叫びました(笑)

 

◇そして甲子園本番

いよいよ甲子園で「Sくん」が出場する日となった。

 

私は初めてB高校を甲子園に導いた「Sくん」を応援するために、テレビにかじりついていた。

 

相手は優勝候補の八戸学院。死ぬ気で応援しないと勝てそうもない相手だ。

 

3回まで0対0の激アツな展開。

 

「トイレに行きたいけど我慢だー!!!」

 

選手に負けないくらい気合いを入れる私。

 

そして4回裏。我らがB高校がチャンスを作る。

 

ここで、我らが「Sくん」に出番が回ってきた。

 

「Sくん打てよー!!頼むぞー!」

 

そして打席に立ったS。

 

「カッキーーーーン!」

 

「おおおおおおおおぉーー!!」

 

なんとSくんが打った!!!

 

そしてなんと相手がありえないエラー!!

 

 

「まじかよ奇跡じゃーーーー!!!」

 

一塁に全力で走り、セーフ!!!

ガッツポーズをするSくん!

そして号泣する神主!(笑)

 

さらに「Sくん」は盗塁を仕掛け、捕手の悪送球の隙に一気に三塁へ!!

 

一死三塁とし、3番打者の犠飛で1点を先制した!!

 

「Sくん大活躍で神がかってるやんけー!!!」

 

涙で画面が見えない私!!(笑)

 

試合は1対0のまま進んでいった。

 

「…このままいけるぞ!!」

 

しかし8回になると、次々にチャンスを作られ、あっという間に4点も取られてしまった。

 

8回裏になんとか1点を返したが、そのまま試合は終了。

 

2対4の悔しい敗戦となってしまった…。

 

◇大活躍だった「Sくん」

試合に負けはしたものの、我らが「Sくん」の活躍は見事なものだった。

 

「絶対神様が後押ししてくれたんだろうなー。」

 

涙でグチャグチャになった顔を鏡で見ながら、私はそう実感したのです。

 

「あんなに頑張って神社でアルバイトしたんだもん、ご利益あるに決まってるよな!」

 

私はそう確信し、「Sくん」の将来のさらなる成功を祈った。

 

◇まとめ

いかがでしたか?

 

みなさんも努力していれば神様が必ず見てくれていると思います。

 

いつも心は「清く正しく」し、人生の勝負の日の前には神社で手を合わせに行ってみませんか? 

 

きっと、神様が助けてくれますよ。

 

それではまた次回ッ!